国籍や価値観の違いを乗り越えて。
実は、一度ホームレスを経験したことがあります。1997年のアジア通貨危機がきっかけで家族と離ればなれになり、3週間くらいのことでしたかね。当時通っていた高校を中退してなんとか生きていく中で、気づいたら日本に来ていました。韓国から徴兵書が届いた時には、食べるものや宿の心配もないので喜んで受け、その後、職業軍人を目指しましたが、大学進学を推薦されたため、バイトをしながら日本の大学に通いました。就活の時は、家がないという苦しみを知っていたから、不動産関係の仕事につきたかったんです。ですが、不動産は信頼がなにより大事な業界。そこには、悲しいけれど国籍の違いによる就職差別もあります。そんな中受けたNPDの最終面接で、現副社長の川村に言われた一言が衝撃でした。「差別なんてないとは言うけど、本当はあることを知っているよね?」。誰もが薄々感じながらも口にはしたがらないことを、口にしてしまう会社があるんだ、と。当時のNPDには外国籍の社員がいなかったのですが、この会社なら、裏表のない人間関係でやっていけると確信しました。入社してから、実際に価値観の違いでぶつかることもありましたが、自分が任された現場ですし、そこにいる人たちは、みんなひとつのチーム。何かを悪くするためではなく、チームをよくするためにやっている。その目的意識を共有することで、少しずつ、心の壁をなくしてこられたと思っています。振り返ってみて、やはり現場の経験は、絶対に必要。現場のことを知らない人が、マネジメントやオーナー様への提案なんて、できませんから。現場で培ってきたものがあるからこそ、今の自分がいますし、慕ってくれる仲間たちがいるのだと思います。